食のバリアフリーを進めたいVol.2〜嚥下食が必要な人の災害時の対応を聞く〜

以前 嚥下食に対応したレストランを紹介するサイトを運営するMさんにお話をお伺いしました。

三浦紀子レポート 食のバリアフリーをすすめたい

嚥下障害のある人は、生きるためだけでなく楽しむためにも工夫しながら食生活を送っています。でも、それは平時だからできることかもしれません。例えば災害が起きて避難所に行かざるを得ない状況になったときどうなってしまうんだろう?
ということで、難病指定の疾病による嚥下障害当事者のTさん、介護事業所で働くYさん、Mさん私で、神奈川ネットワーク運動の平田いくよ市議の調整により青葉区役所の高齢・障害支援課に直接聞きにいくことができました。

区役所では、特定疾病の人数把握は行っているものの、それぞれの状態まで詳細には把握できないし、その対応は難しい。地域では、民生委員さんが要援護者の把握を行っているが、地域差があるとのこと。
災害時には、横浜市と協定を結んだ福祉施設が、自宅や地域防災拠点での避難生活が難しいと判断された人を受け入れる「福祉避難所」を開設することになっていますが、そこにはおかゆ460食スープ220食の準備はあるそうです。
Tさんは、おかゆやスープがあるならばそこに家庭で準備しているとろみ剤やレトルト食品などでカロリー補完をしたりできるので少し安心したとのことでした。ただ、胃ろうの場合にはシリンジ(注入器)洗浄が必要で避難所で水を使わせてもらえるか当事者の中では不安の声が多いそうです。備蓄している飲料水を洗浄に振り分けるかは、福祉避難所の運営者の判断となるとのことです。だからこそ日頃からどんな状態の人を受け入れる可能性が生じるのか想定しておくことが重要です。

担当課からは、嚥下障害の方の防災備蓄はどういうものを準備しているのですか?などの質問のほか、嚥下障害の人のオンラインコミュニティについて尋ねられる場面もあり、災害時の多様な想定の中に、嚥下障害という困難のある人への対応を入れる必要があることを、ともに確認する場になったと思います。

Tさんは、胃ろうに関して使い捨ての器材の開発の必要性にも言及されました。横浜市が先鞭をつけて福祉政策が進んだ部分も多く期待を込めての発言でした。器材の洗浄は命に関わる問題であり今後も検討が必要です。

災害時に柔軟な対応ができる地域づくりのためには、嚥下障害や胃ろう患者のみならず、さまざまな事情を抱える市民が暮らしていることを認め合うことから始めることが大切だと改めて感じました。

 

📣食事支援が必要な子どもを持つ人のためのオンラインコミュニティ「スナック都ろ美」

📣福祉避難所

📣嚥下障害と胃ろうについて

胃ろうは胃に穴を開け、直接栄養補給をする方法。嚥下に障害がある人が補助的に胃ろうを行い嚥下機能の回復のためのリハビリテーションを行う場合などもある。