保育士の労働環境の改善を進めたい〜自治体から国を動かす〜

静岡県の保育園で1歳児への暴行容疑で保育士が逮捕され、その具体的な暴行の内容は、社会に衝撃を与えました。うちの子の園は大丈夫なのかという子育て家庭からの問い合わせや、自治体からの確認連絡などが、保育園に寄せられています。今保育の現場はとても過酷です。1人で保育しなければならない子どもが増えれば増えるほど、保育士は時間的にも心理的にも余裕がなくなり、園児をコントロールせざるを得ない状況を生み出してしまうのではないでしょうか。

虐待を防ぎ、保育の質を高めていくために保育士の労働環境の改善が必要です。
保育園には、保育士1人あたりで何人の園児を見るのかという保育士の配置基準があります。国の基準は1歳から2歳児は6人までですが、横浜市は1歳児4人に つき1人以上、2歳児5人につき1人以上とし、年間78.5億円の予算を取り、保育現場の負担に配慮した独自の配置基準を設けてきました。どの自治体でもできるわけではありませんが、住む場所により保育の質に差ができることは望ましくありません。先日、国は保育現場で保育士を追加で雇えるよう来年度から補助金を拡充する方向で調整に入ったとの報道がありました。これは、現場の実態を把握する自治体行政の政策が、国に影響を与えたとも言える事例です。国の動向に目が向きがちですが、地方自治体から国を動かすという本来あるべき姿を今後もめざしたいと思います。

 <現在の保育士の配置基準>

  0歳児 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児以上
3人 1歳から2歳を6人 20人 30人
横浜市 3人 4人 5人 15人 24人