現場の声を制度にいかす〜障害児支援の現場から〜
神奈川ネットワーク運動・青葉は、ネットワーク運動という名に違わず、地域の事業者や市民団体とつながりを深め、課題の共有から政策につなげるという活動を進めています。最近では、複数の障害児・者に関する支援事業を展開する団体の皆さんから課題をヒアリングさせていただきました。
障害福祉サービスはとても複雑であるがゆえに、障害児や発達に特性のあるお子さんをサポートする必要性の高まりとともに、「障害児相談支援事業」を利用したいという希望も増えています。
相談支援事業は基本相談と計画相談の二つの仕事を担っています。計画相談には報酬や加算がありますが、相談の入口となる基本相談はほとんど評価されていないために、常に事業運営が厳しい。したがって事業所が増えていきません。障害児相談支援事業所は、横浜全市で34か所(2022年11月現在)しかなく、相談支援を利用したくてもできない方が大ぜいいます。
さて、基本相談とは、一体どんな支援なのかと言えば、事業所探しや事業所見学の同行、事業所との契約の立ち合い、通院同行、事業所や家族からの相談への対応など多岐にわたる本人や家族への支援を行います。こうした日々の細やかなサポートを適正に評価する報酬体系に見直すことで相談支援事業所が増えていくと思われます。
対照的にどんどん増えているのが障害児の放課後等デイサービス事業です。放課後等デイサービスは、6歳から18歳までのお子さんが通う放課後の通所サービス施設で、横浜市内には、457か所(2022年11月現在)の事業所が存在しています。2015年度からは、放課後等デイサービスの利用にあたって、障害児支援利用計画の提出が必須になりましたが、横浜市では相談支援事業所が全く足りないため、セルフプランでも可能という対応がとられています。
さらに、18歳を超えた障害のある方はどう日常を過ごすの?ということが実は大問題なんです。
放課後等デイサービスに代わる通所サービスは、送迎を含めて16時前後には帰宅というケースが大半で、夕方支援サービスが極端に不足しています。放課後等デイサービスは、利用児童の保護者の就労ニーズの受け皿にもなっていて、「18 歳になったから」といって、必要な支援は何ら変わらない人が多くいます。
まずは、横浜市に、障害者の夕方支援に関するニーズ調査を行い当事者、家族の要望・意見をしっかり把握することを求めていきます。
横浜市山中市長は、「子育て支援」を一丁目一番地とする中期計画を提案しました。子どもに障害があってもなくても、子育て家庭にとっての支援体制はとても重要です。その子育て支援に障害児支援という視点がどれほど入っているのか?これから始まる予算議会にも注目しなければなりません。